かしいのドイツ美大留学日記

2023年10月からドイツの国立美大でデザインを勉強中✍️ ドイツ生活のエッセイ漫画やお役立ち情報を発信します!

KISD(ケルンインターナショナルデザインスクール)に入学して1ヶ月経ちました

ドイツ美大に留学中のかしい(@kassy_art)です!
紆余曲折あり、2022年9月からKISD(Köln International School of Design)Integrated Design科(Bachelor課程)に入学しました。
この記事では、入学して1ヶ月経って感じたことを正直に書いてみます。

KISD(ケルンインターナショナルデザインスクール)のいいところ

とにかくいろいろ学べる!

Integrated Design(総合デザイン学科)という名前のとおり、学べるデザインの範囲がとにかく広いです。

専攻を決める必要もなくとにかくいろいろ取れるため、
「まだやりたいことが決まってない」
「いろいろ学びたい」

という人にはぴったりの学科だと思います。

大学側としては12個の専門分野があると紹介しています。
UnityProcessing、Arduino、Rasberry Pi、Creative Codingなどプログラミング系も学べるのがデザイン科としてはけっこう珍しいのではと思います。
評判を聞く感じだと、サービスデザインが強いようです。

Lehr- und Forschungsgebiete Designprozesse bilden einen wesentlichen Bestandteil unserer kisd.de  

英語でデザインを学べる!

KISDでは一部ドイツ語のコースもありますが、85%くらいのコースは英語で提供されています。
そのため、入学に求められるドイツ語能力もB1レベルでOKと低め。
基本、ドイツの州立大学のデザイン科に入学するにはB2もしくはC1レベルのドイツ語の能力が必要です。
学費無料ヨーロッパ英語でデザインを学べる、というのはかなり穴場なのではと思います。
実際、B2レベルの自分でもドイツ人ネイティブ同士のドイツ語ディスカッションはちんぷんかんぷんなので、英語で授業をしてもらえるのは助かります…。

他の国の大学との共同プロジェクトもあり、海外で将来働きたい人には良さそうです。
千葉大学や武蔵野美術大学との共同プロジェクトもありました。

留学生が多い

英語で学べるので、アメリカやメキシコ、アジア、EU圏などいろんな国から来てる学生がいます。
留学生は全体の40%とのこと。
ただ、短期の交換留学生が多いので、3年間フルで学ぶ学生はフツーにドイツ人が多めです。
日本からも交換留学生として来る人はちらほらいるみたいなのですが、正規留学している人は見かけません。
いろんな文化に触れられて浮かずに済むのは、個人的にはメリットだと感じています。

事務の返信が早い

受験の際にいろんな大学に問い合わせしましたが、どこも3日後とか1週間後に返事が来ました。
ただ、KISDだけはなぜか当日翌日と爆速で返事が来たので助かりました。
わからないことがあったときにすぐ返事がもらえるというのは、地味に心強いです。

セメスターチケット(通学定期)を使える範囲が広い

これはKISDだけでなくNRW州の大学全体に言えることですが、セメスターチケットがNRW州全域に渡って使えます。(州全体を無料で移動できる。鈍行限定)
ハイデルベルクの大学に通っている友人は
「州全体ではなく、ハイデルベルクマンハイムなどの限られたエリアでしか使えない」
と言っていたので、セメスターチケットが使える範囲は州によるようです。
NRW州は観光名所もいろいろあり、使える範囲が広いのは旅行が好きな人にはお得です。

KISD(ケルンインターナショナルデザインスクール)のいまいちなところ

美大じゃないからアトリエがない

KISDは総合大学の1学部が独立したキャンパスになっているだけで、美大ではありません。
キャンパスは小さく、誰でも自由に使えるアトリエがありません。
学生も全体で400人と多め
で使える場所が限られてます。
プロジェクトの授業を取るとプロジェクトルームを自由に使えるとのことなのですが、絵画や大きい立体作品の制作が自由にできるのかどうかはまだ不明です。

取りたいコースが全部取れるわけじゃない

9月の2週目が履修登録期間でしたが、学生数に対してコースの定員が少なすぎて、1巡目では全然取りたいコースが取れませんでした。
コースによって定員より多くとってくれるところがあるので、初回の授業にダメもとで行ってOKなら履修できるという感じです。
断られることもあります。
プロジェクト、ワーキンググループ(KISD運営のボランティアグループ)、セミナーは上級生が優先。
そのかわり、ソフトウェアの使い方を学ぶような技術系のコースは下級生優先になっています。
あとは、興味のあるテーマだけどドイツ語だとまだ取りづらくて「もっと語学力があれば…」と悔しい思いをしています。早くC1取りたい…

チームプロジェクト重視

SIP(Self-Initiated Project、自己プロジェクト)もできるようですが、新入生はまず既存のチームプロジェクトに配属されます。
チームが好きな人はいいと思いますが、一人で進めた方が速いのになーって場面でもチームでまず役割を分担しなければいけないので正直めんどくさい…。
SIP最低3人集めないとプロジェクト化できません。
人が集まらなかったらほかのプロジェクトに入るか、自分のやりたいことは単位関係なく勝手にやるしかない。

イラストレーション専攻がない

コミック作品を一人でもくもくと描いて教授にフィードバックをもらって1冊の本を完成させる…というのをやりたかったのですが、KISDはイラストレーションの教授がいないのでできません。
個人的にはここがKISDの1番の不満です。入学前からわかってたことですが…。
とりあえず早くドイツに来たくて今年入学できるKISDに入学しましたが、来年イラストレーションの教授がいる別の大学に移動するべきかどうか、まだ悩んでます…。

学校のWi-Fiが弱い

これはかなり細かいことですが、集中して作業したい図書館でもWi-Fiが弱いのでけっこうイライラします…。
全てが対面授業なわけではなく、オンラインのコースもあるので地味に困ります。
プレゼンするときも動画が読み込まれなかったりしてイライラ…。
場所によってはちゃんと入るところもあるので、そこまで問題ではないです。

履修中のクラス

こんなクラスがあるよということで、自分が履修しているクラスを紹介します。

  • Interactive Systems(Fundamental + Application)/ 4単位
    ProcessingやArduinoを使ったインタラクティブデザインを学ぶ

  • Poster Plakate Affiche / 4単位
    ポスターデザインの歴史を学ぶ、自分でポスターを作ってみる

  • Poster Competition / 6単位
    ドイツの学生団体が主催するポスターコンテストに応募するポスターを3作品つくる。
    今年のテーマは"Ich engagiere mich! (I'm engaged!)"

  • KISDtalk, KISDlecture / 4単位
    卒業生や現役デザイナーによる講義、必修だが出てない人も多い。

  • Desktop Video for International Students / 2単位
    Adobe After Effectsの使い方を学ぶ

  • Quick and Dirty / 2単位
    新入生向けのデザインソフト全般基礎コース(PhotoshopIllustratorInDesignなど)

  • Skizzen und Zeichnen / 1単位
    プロダクトデザインのためのアイデアスケッチの基礎を学ぶ

  • Cologne Resources / 1単位
    新入生向けのお試しプロジェクト、ケルンやKISDに関連するテーマで作品をチームで制作する。必修。

  • Deutsch als Fremdsprache B2.1 5単位(デザイン学科とは無関係)
    非ドイツ語ネイティブ学生向けのドイツ語コース

1学期の目安が30単位とのことですが、実際には30単位とるとけっこう課題でかつかつな感じです。
ほとんどの人は少なめにとって、7〜8セメスターかけて卒業してます。
(卒業に必要なのが120単位なので、1学期に15~18単位だけ取ればよくなる)
1学期目はバイトをする予定もないので、まずは勉強に打ち込みます!
デザイン関連のソフトウェア技術を早く身につけたいです。

追記:授業を取りすぎて課題をやる時間が確保できなかったので、一部履修中止しました。

  • What about us, Europe? / 12単位
    ヨーロッパに関するデータビジュアリゼーションを作成する長期のチームプロジェクト。ヨーロッパの他の都市へのスタディートリップも多め。

    履修中止理由:
    ヨーロッパをテーマに自分の研究手法を選べるプロジェクトだと思ったのですが、なぜか「じゃがいもがテーマ」とすでに決められていました。
    教授の指示に従ってチームでプロジェクトを進めるのですが、教授のコミュニケーションがダメダメでした。
    授業がいつ開催されるかそもそもわからなくて初回授業に来れない人が続出したり、教授が指示するプロジェクトの手法や目的に共感できなかったり…。
    辞めるときに「途中で辞められるの迷惑」と嫌味言われたけど、お前のせいやろって思いました…。

  • International AG / 2単位
    KISDの留学生向けにイベントや情報発信を行うボランティアグループ

    履修中止理由:
    初回の授業では「新しいInternationalのシンボルを作ろう」とポスターやロゴのアイデアを考えてという指示だったのに、2回目の授業ではインスタレーション、WEBサイト、冊子、ポスター、なんでもいいのでInternationalをテーマに作品をつくって」となり、3回目の授業ではなぜか「留学生向けに冊子をつくりましょう」と授業の方向性がコロコロ変わり、教授を信用できなくなったので辞めました。
    せっかく毎週アイデア考えていくのに、プロジェクトの方向性が変わるから考える意味なし。

  • Rethoric for Designers 1単位
    非英語ネイティブの学生向けのデザイン関連英語コース、必修。
    英語レベルによっては参加不要。

    履修中止理由:
    英語レベルがAdvancedの生徒は任意参加ということがわかったため。
    出席がなくても最後の試験に受かれば単位は取れるらしい。

ちなみに、履修中止という公式の制度は特になく、途中でやめたら単位が取れないというだけです。
公式的には「1回目の授業でやめなかったら最後まで参加するのがマナー」らしいですが、数回参加しないと授業の方向性がわからないのに意味不明だなと思いました!
普通に無視してみんなどんどん途中でやめてってます。

授業によっては定員が決まってるので、たしかに途中でやめる人がいると「だったら私がとりたかったよ」ってなる人いるのはわかるんですが、まぁ参加してからじゃないと相性はわからないからしょうがないかなと思います。
セメスターフィー払ってるのに、つまらない授業に時間をとられるの意味不明なので…。

ケルンのいいところ

大学ではなく、街としてのケルンの印象も書いてみます。

街の規模がちょうどいい(人口109万人、仙台と同じ)

東京と比較して人口は少なく、満員電車はありえないけど適度に人がいるという感じです。
公共交通機関も充実していて、商店街やデパートもあって不便に感じることはありません。
ベルリンまで行くと「人がいすぎてとにかく家が見つからない」「家賃が年々上がる」となるので、広島・仙台あたりの地方都市に住むのはちょうどいいです。
一方で、トラムで通学してる人が多いので学生寮以外に住むと夜に友達と集まりにくいです。
小さい田舎町に住んだ方が、ほぼ全員徒歩30分圏内に住んでる、みたいな状態になるので一体感はあります。

インターナショナルな雰囲気

オランダベルギーの国境に近く、留学生も多くいろんな人がいます。
実際、わたしが住んでいるWGも大家がパキスタン出身、住んでる学生もイギリス、カメルーン出身と国際色豊かです。
街を歩いてても浮かない、というのはけっこう安心できます。

Altstadtがあって雰囲気がいい

ケルン大聖堂という世界遺産が中央駅近くにでーん!とあり、その周りにAltstadt(古い街並み)があります。
近代になってから発展した工業都市よりも街の雰囲気がいい気がします。

イベントが多い

ドイツの人口第4位なので、展示やコンサートなどのイベントが豊富です。
個人的にはライブに行くのが好きなので、授業の後にコンサートに行けるのはけっこう嬉しい。
(洋楽のヨーロッパツアーは大体ベルリン、ハンブルクミュンヘン、ケルンまでしか来ないので、小都市だとコンサートに行けない)
イベントの運営に関わりたいので、バイトができるとすれば劇場とかで働けないかなと目論んでます。

ケルンのいまいちなところ

中心街の画材屋がしょぼい(気がする)

ドイツに来て残念なのは、画材や文房具が日本より高くて品揃えがしょぼいこと!!!
授業でコピックが必要になったのですが、3店舗まわって売り切れで代替品でなんとかやりくりする、ということがありました。
ドイツでも美大がある都市なら画材屋が充実してるのかもしれませんが、今のところ中心街の画材屋さんはどこも小規模でラインナップがしょぼめです…。

追記:郊外にBoesnerという有名画材店があると教えてもらいました!

Niederlassung Köln | boesner.com Wir halten Sie auf dem Laufenden über • Aktionen • Projekte • www.boesner.com  

売場面積が広そうなので、ここまで行けば欲しい画材が見つかるかもしれません。

ライン川で分断されてるので通学が大変

KISDのキャンパスはライン側西南のあたりにあります。
大学近くの学生寮に入れればいいのですが、ライン川の東側に住んでしまうと通学がけっこう時間かかります。(東西を繋ぐ橋が少ないため)
わたしが住んでるWGは理論上は40分で学校に着くのですが、電車やバスが頻繁に遅延するので1時間以上は余裕持って出ないと遅刻します。

追記:不便すぎたので結局ライン川西側に引っ越しました。

その他、この1ヶ月で起こったこと

  • コロナに2回なる

  • WGにようやく入居するも、シャワーのお湯が出ないまま放置される

  • 住民登録、銀行口座開設、携帯電話の契約完了

  • 履修登録が確定する

  • 大学提携ジムの無料会員権の抽選に落ちる

  • 学食でサイフを盗られる(さよなら150€…)

  • 円安が10円進む

保険の手続きが終わらなくてまだ滞在許可は取れてません(TOT)
コロナに2回なったりサイフ盗られたりドイツ語が思ったよりわからなくてくじけつつも、まずはドイツで勉強できてるということを喜びたいと思います!!
もう少し経ったらまた感想記事を書きますね。

ドイツ留学、ケルン留学を志してる方に少しでも参考になれば幸いです!

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