ドイツ美大に留学中のかしい(@kassy_art)です!
「家探しの難しいドイツですぐに入居できた!」と喜んでいたのも束の間、
最初に入居したWGが「シャワーのお湯、ヒーターが使えない」というトンデモ物件でした。
1ヶ月以上経ってもシャワーの故障が修理されず、大家に家賃の値下げ要求をしました。
しかし、ドイツ民法を知らなかったために大幅に損をしてしまいました…。
みなさんには同じ轍を踏んでほしくないので、ドイツでの賃貸トラブルの対応方法をこの記事にまとめます。
- 賃貸トラブルの対応方法まとめ
- 瑕疵報告書(Mängelanzeige)の書き方
- 賃貸トラブル1:冬なのにシャワーのお湯がでない!
- 10/1(土) 入居してすぐにシャワーの故障報告
- 10/5(火) 1階シャワーが自由に使えるようになる
- 10/17(月) 大家家族が帰国、シャワーを自由に使えなくなる
- 10/22(土) 配管工が来たのに治らず
- 11/3(木) 配管工が来てボイラーを修理
- 11/4(金) シャワーを浴びるもまだお湯が出ない
- 11/6(日) 大家の奥さん立ち会いのもとシャワーのお湯を出そうと試みるも、まだ出ない
- 11/11(金) 大家が対応してる気配なし、キレて水温計を買って測ったら最大29℃と判明。家賃の値下げ要求をメールで送るも無視
- 11/12(土) 大家と直接話す、来週直すとの返事
- 11/14(月) ようやく瑕疵報告書を手渡したところ、大家が逆ギレ。新居を探し始める
- 11/22(火) シャワーがようやく直る
- 11/24(木) Mietervereinで相談、解約通知書を手渡す
- 11/30(水) 退去の立ち会い、契約終了
- 賃貸トラブルの反省
賃貸トラブルの対応方法まとめ
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もしもの場合にそなえて、入居後すぐに地域のMieterverein(住人保護組合)に加入しておく。
加入後の待機期間があり、問題が発生してから加入するとすぐに対応してもらえないため。 -
故障箇所があったら、ただちに瑕疵報告書(Mängelanzeige)を書留で郵送
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瑕疵報告書のテンプレはネットで探すかMietervereinで弁護士に無料相談
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トラブルが一定期間内に解消されない場合は、トラブルが解消されない限り瑕疵報告書提出日以降の家賃を値下げしてもらえる
(電話やメールだけだと、家賃の値下げには対応してもらえないので注意) -
家賃の値下げ率はトラブル内容によって異なるため、Mietervereinで弁護士に相談するか過去の判例を参考にする。
勝手に高すぎる値下げ率を設定して家賃を払わずにいると、強制退去させられる可能性もあるので注意。
(参考:https://www.mietrecht.de/mietminderungstabelle/) -
家賃の値下げは遡及的に要求することも可能だが、14ヶ月間何もせずに正規の家賃を払い続けると請求権がなくなるので注意。
瑕疵報告書(Mängelanzeige)の書き方
ネットでのテンプレをもとに記入しました。
以下は自分が送った文章です。
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故障箇所を具体的に書く
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大家に故障を直す猶予期間を与える
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自分が署名した上で、大家にも署名してもらう
などが重要ポイントです。
賃貸トラブル1:冬なのにシャワーのお湯がでない!
10/1(土) 入居してすぐにシャワーの故障報告
10/1に入居してすぐ、WG全体チャットで「2階のシャワーのお湯が出ない」という報告がありました。
「おいおい…」と思いつつ、「2階のシャワーが直るまでの間、1階のシャワーを使っていい」とのことだったので、このときはまだ深刻に捉えていませんでした。
大家家族がパキスタンに帰国していて不在だったため、大家家族の居住空間である1階をいつでも使えたのです。
10/5(火) 1階シャワーが自由に使えるようになる
大家は「使っていいよ」と言っているものの、実際に1階に行こうとしたら鍵がかかってました。
どうやら大家は鍵をかけずに出ていったのに、私の入居作業を手伝ってくれた大家の友人がおせっかいで鍵をかけてしまったみたいです。
コロナに似た症状で具合が悪い中、大家の友人の職場まで鍵を受け取りにいくという無駄な作業が発生。
ようやくシャワーが使えるようになりました。
10/17(月) 大家家族が帰国、シャワーを自由に使えなくなる
大家家族がパキスタンから帰ってきて、1階部分に自由に移動できなくなりました。
「シャワーを使いたいときは、地上階の同居人Aの部屋のシャワーを使うように」という方針に変更。
しかし、同居人Aは平日働いています。
毎回都合を聞かねばならず、朝7〜8時か夜19〜21時頃にしかシャワーを使えません。
帰宅が21時以降になればもうその日はシャワーを浴びれません。
これはかなりめんどくさいです。
実際、同じく2階に住んでいる同居人B・Cは、借りるのがめんどくさいので2階のぬるいシャワーを我慢してずっと浴びてました。
「24時間お湯が使える」ことが住民の権利のはずなのに、24時間のアクセスがありません。
10/22(土) 配管工が来たのに治らず
10月上旬に大家に修理時期を聞いたら「10/22(土)に配管工を予約した」とのことでした。
「ドイツは予約がすぐ取れないっていうし、まぁ少し待つのはしょうがないのかな…」
と思い、1週間程度ならと我慢していました。
しかし、土曜日が終わってもシャワーが直っておらず。
そもそも配管工が来たのかもわからず、大家からの情報共有が全くありませんでした。
「いつ直りますか?」と大家にWhatsAppで聞いたものの、今度はアメリカ出張で家に不在で1週間以上メッセージに返信なし。
「どうなってんだよ…」とさすがに不安になってきました。
ドイツ人の友人から、「シャワーのお湯が出ないなら、家賃の値下げ要求ができる」と聞いたのもこの時期です。
11/3(木) 配管工が来てボイラーを修理
わたしが何度もメッセージを送ったので、ようやく大家が配管工を急遽予約してくれました。
私の不在時だったのでわかりませんが、どうやらボイラーを修理してもらえたようです。
11/4(金) シャワーを浴びるもまだお湯が出ない
「やっと2階でシャワーが浴びれる!」と使ってみたものの、すぐに「…あれ?」となりました。
修理前と温度が全く変わっていない。
「どうなってるんだ?」と大家に問いただしたところ、「コツがある」とのことで教えてもらうのを待つことにしました。
11/6(日) 大家の奥さん立ち会いのもとシャワーのお湯を出そうと試みるも、まだ出ない
ようやく、大家の奥さんが「洗面台でお湯を出してからシャワーの水を出すとお湯が出る」とコツを教えてくれました。
ところが、洗面台でお湯が出てもシャワーからは一向にお湯が出ません。
なんとなくぬるい水が出てるだけです。
奥さんが「これが普通よ」と誤魔化そうとしてきたので「普通じゃない!」と怒りました。
過去の裁判では、
「水を出してから10秒で45℃以上のお湯が出てこなければ住宅の欠陥である」
という判決が出ています。
1分経ってもぬるいままなのは遅すぎです。
お湯がまだ出ていないことを確認して、もう一度修理してもらえるよう頼みました。
大家に確認しても、「おかしいな。配管工がいた時はシャワーからもお湯が出てたんだけど…」ととぼけたことを言ってるだけでした。(本当か?)
11/11(金) 大家が対応してる気配なし、キレて水温計を買って測ったら最大29℃と判明。家賃の値下げ要求をメールで送るも無視
11/6(日)に再修理が必要だと報告したものの、またしても既読スルーでなんの反応もなし。
さすがにひどすぎると思ったので、家賃の値下げ要求をするために証拠動画を撮ることにしました。
わざわざみんなが浮かれているカーニバルの日に水温計をお店に買いに行き、シャワーの温度を測りました。
何度かテストしましたが、水を出してから1分後に29℃になったきりでその後3分以上水を出し続けても40℃以上になりませんでした。
ネットで瑕疵報告書と値下げ要求のテンプレを探し、PDFでメールを送りました。
本当は印刷してすぐに手渡したかったのですが、運悪くカーニバルの日で公共交通機関が止まり、学校までたどり着けませんでした。
11/12(土) 大家と直接話す、来週直すとの返事
WhatsAppの返事がないので直接聞いたところ、
「今週は奥さんの具合が悪くて忙しかったから来週直す」
とのこと。
「忙しかったから対応できなかった」といつも言い訳するけど、ならなぜまずその状況を共有しないのか?
同じ家に住んでいるのに、とにかくコミュニケーション不足で疲れます。
11/14(月) ようやく瑕疵報告書を手渡したところ、大家が逆ギレ。新居を探し始める
ようやく大家に瑕疵報告書と家賃の値下げ要求書を手渡しました。
すると、「この家が気に入らないならいつでも出て行っていいんだぞ」と逆ギレ。
「サインしたくない」とゴネだしたものの、最終的には書類に目を通してサインしてもらうことに合意しました。
逆ギレされて大家を完全に信頼できなくなったので、大家の言うとおりこの家を出ていくことにしました。
11/22(火) シャワーがようやく直る
シャワーがようやく直りました。
このときにはもう新居が決まっていたので、正直いまさらシャワーの故障の有無はどうでもよかったです。
当日の16時半に「17時から業者が来るから浴室あけといて」とメッセージがきて、「いや、もっと早く
11/24(木) Mietervereinで相談、解約通知書を手渡す
Mietervereinで相談したところ、
11/30(水) 退去の立ち会い、契約終了
「自分は悪い人間じゃないから、口約束で大丈夫」と言い出し、「マジでどの口が言ってんだ?」と思いました。
賃貸トラブルの反省
はい、もう読んでるだけで「どんだけ紆余曲折あんだよ」と飽きましたよね。
渦中の自分はここで書かれている以上に何度もいろんな人とやり取りをして本当に疲れました。
もっと早く対応していれば実際に家賃を値下げしてもらえたかもしれなかったです。
「いつか大家が対応してくれる」という待ちの姿勢でいたために、シャワーとヒーターの故障の修理に1ヶ月以上かかるという結果になってしまいました。
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WGの下宿人が全員外国人で誰もドイツ民法に詳しくなかったため、シャワーの故障をきちんと書面ですぐに報告できなかった。
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入居したてで勝手がわからなかったため、「自分の使い方が間違ってるのかも」と思い自分の部屋のヒーターの故障をきちんと書面ですぐに報告できなかった。
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対応が遅いドイツでも、家の深刻なトラブルは緊急対応してもらえる。
たとえば、ヒーターの故障は4日以内に直すのが大家の義務。
すぐに修理してもらえるよう、やはりWhatsAppではなく書面での通知が大切。 -
Mietervereinの仕組みやMängelanzeigeの書き方など、いちいち調べるのに時間がかかってすぐに対応できなかった
修理猶予期間内に修理が終わり、また自分も11月末で退去したので家賃の値下げが適用されることはありませんでした。
次回以降は、すぐに故障箇所を書面で通知しようと思います。
長文記事を読んでくださってありがとうございました!
みなさんも、賃貸物件でトラブルがあった場合はすぐに故障箇所を書面で通知してMietervereinに相談するようにしてください!!